ポン抜き(石取り碁)の遊び方
ポン抜きは、囲碁の道具とルールを使った入門の遊びです。「石取り碁」「石取りゲーム」とも呼ばれ、囲碁教室や学校のクラブで、はじめての人が最初に遊ぶことがよくあります。ふつうの囲碁は最後に陣地(地)の広さを数えますが、ポン抜きは相手の石を先に取ったほうが勝ち。数えるのは取った石の数だけなので、1局が数分で終わり、勝ち負けもすぐにわかります。このゲームでは、7路(たて・よこ7本の線)の小さな盤で「1つ取ったら勝ち」が標準です。慣れてきたら、6路・9路の盤や「3つ取ったら勝ち」「5つ取ったら勝ち」も選べます。
石の打ち方

先に打つのは黒です。そのあとは白・黒・白…と1つずつ交代します。石はマス目の中ではなく、線と線が交わる点(交点)に置きます。盤の端や角の交点にも打てます。いったん打った石は動かせず、盤から消えるのは相手に取られたときだけです。
石を取る

石のたて・よこのとなりにある空いた交点を「呼吸点(こきゅうてん)」といいます。相手の石の呼吸点を全部自分の石でふさぐと、その石を盤から取り上げられます。ななめは関係ありません。同じ色の石がたて・よこにつながっていれば、ひとかたまりとして呼吸点を合わせて数え、取るときもまとめて全部取れます。盤の端や隅では呼吸点が少ないので、少ない石で取れます。逆に言えば、端や隅の石は取られやすい石です。
アタリ・逃げる・つなぐ

呼吸点が残り1つになり、次に相手が打つと取られてしまう状態を「アタリ」といいます。自分の石がアタリになったら、最後の呼吸点に石を伸ばして逃げるか、となりの自分の石とつないで呼吸点を増やします。逃げた結果、呼吸点が3つ以上に増えればひと安心です。このゲームでは、アタリの石を赤い点線の輪で、最後の呼吸点を小さな輪で知らせます。設定で消すこともできるので、慣れたら印なしで自分で見つけてみましょう。
シチョウ(逃げても逃げきれない形)

アタリから逃げても、逃げた先でまた呼吸点が2つしかないと、相手は続けてアタリをかけてきます。これをくり返すと、石は階段のように斜めに追われ、最後は盤の端で取られてしまいます。この形を「シチョウ」といいます。逃げる前に「逃げた先で呼吸点が3つ以上になるか」「逃げる方向に自分の石(シチョウあたり)があるか」を見ましょう。逃げきれないとわかったら、その石はあきらめて、ほかの所で取り返すのも作戦です。
ゲタ(ふわっと包んで取る形)

すぐにアタリをかけずに、相手の石の斜め前に打って、逃げ道をまとめてふさぐ取り方を「ゲタ」といいます。下駄の歯のような形からついた名前です。ゲタにかかった石は、どちらに逃げても次にアタリになり、取られてしまいます。シチョウで逃げられてしまう石でも、ゲタなら取れることがあります。相手の石の呼吸点が2つのときは、すぐにアタリにする手と、ゲタの手の両方を考えてみましょう。
打てない所(着手禁止点)

相手の石に囲まれた交点のように、打った瞬間に自分の石の呼吸点がなくなる所には打てません。これを「着手禁止点」といいます。ただし、そこに打つと相手の石の呼吸点もなくなるときは、相手の石が先に取れるので打てます。ポン抜きでは、それがそのまま勝ちの一手になります。このゲームでは、打てない所を押すと×の印と理由が出ます。
3つ・5つ取ったら勝ちのとき(コウ)

「3つ取ったら勝ち」「5つ取ったら勝ち」にすると、取られても対局は続きます。このとき、おたがいに相手の石を1つずつ取り合える形「コウ」が出てくることがあります。コウで石を取られた人は、すぐには取り返せません。一度ほかの所に打ってから取り返します。今は打てないコウの点には、四角の印が出ます。1つ取ったら勝ちのときは、取った時点で終わるのでコウは気にしなくてかまいません。
終わり方
決めた数の石を先に取ったほうの勝ちです。1手で決めた数より多く取っても勝ちになります。どちらも取れないまま打つ所がなくなったら、パスができます。2人続けてパスすると終わりで、取った数が多いほうの勝ち、同じなら引き分けです。設定で「パスなし」にすると、打てる所がある限り打ち続けるので、最後は自分の陣地を埋めることになり、いずれどちらかが取られます。いつでも「投了」で負けを認めることもできます。
選べるルールの違い
はじめての人は「7路・1つ取ったら勝ち・何もない盤」から始めて、CPUの「やさしい」に勝てたら少しずつ変えていくのがおすすめです。
| 設定 | 選べるもの | ちがい |
|---|---|---|
| 取ったら勝ちの数 | 1つ・3つ・5つ | 1つは一瞬の見落としで決まる。3つ・5つは取られても取り返せるので、石を捨てる作戦やコウが出てくる |
| 盤の大きさ | 6路・7路・9路 | 小さい盤ほどすぐにぶつかる。9路は逃げる場所が広く、シチョウやゲタが大切になる |
| 最初の配置 | 何もない盤・まん中にクロス | クロスは最初から石が切り合っていて、1手目から取り合いになる |
| パス | あり・なし | なしにすると、最後は自分の陣地も埋めていくので、陣地の広いほうが有利になる |

勝つためのコツ
1. 打つ前に、アタリがないか見る
ポン抜きは、アタリの見落としがそのまま負けにつながります。自分の番が来たら、まず「取れる石はないか」「自分の石がアタリになっていないか」を確かめるくせをつけましょう。はじめは赤い輪の印を頼りにして、慣れたら印を消して自分で見つけると、囲碁の力がぐっと伸びます。
2. 石はつなげて強くする
離ればなれの石は、1つずつねらわれます。となりどうしにつなげると呼吸点が増えて、取られにくくなります。相手に石と石の間に打たれる(切られる)と弱くなるので、切られそうな所は早めにつなぎましょう。
3. 自分からアタリになる所に打たない
相手の石に近づきすぎて、打った石の呼吸点が1つしかない所に打つと、次に取られてしまいます。このゲームでは、そういう所を選ぶと注意が出ます。どうしても打ちたい所でも、もう一度打つ前に呼吸点を数えてみましょう。
4. 逃げる前にシチョウを読む
アタリから逃げても、シチョウで取られる形なら、逃げるほど取られる石が増えます。逃げた先の呼吸点が2つしかないときは要注意。逃げる方向に自分の石があれば助かります。逆に、相手の石を追いかけるときは、シチョウで取れるかどうかを先に確かめます。
5. 両アタリをねらう
1手で相手の石2か所を同時にアタリにする手を「両アタリ」といいます。相手はどちらか一方しか助けられないので、もう一方が取れます。相手の石が2か所で弱っているときは、その間に打てないか探してみましょう。
6. 端や隅に追いこむ
端や隅は呼吸点が少ないので、そこへ追いこんだ石は取りやすくなります。逆に、自分の石は1線(いちばん外の線)にあまり打たないようにします。1線の石は呼吸点が3つしかなく、すぐにアタリになります。
よくある質問
CPUの強さはどれを選べばいい?
はじめてなら「やさしい」がおすすめです。アタリの石によく気づかず、取れる石も見のがすので、取る楽しさを味わえます。「ふつう」は取れる石はときどき取り、逃げることもありますが、まだ見落としが多めです。「つよい」はアタリをよく見て、シチョウやゲタもねらってきます。それでも見落とすことがあるので、すきを見つければ勝てます。
ポン抜きと囲碁はどうちがうの?
石の打ち方・取り方・打てない所は囲碁とまったく同じです。ちがうのは勝ち負けの決め方で、囲碁は最後に陣地の広さを数え、ポン抜きは取った石の数で決めます。ポン抜きで「取る・取られる」に慣れたら、9路盤の囲碁に進んでみましょう。囲碁では、石を取ることより、陣地を広く囲むことが大切になります。
「ポン抜き」という名前の意味は?
囲碁では、相手の石1つを4つの石で囲んで取った形を「ポン抜き」といいます。取ったあとにできるひし形は、とても強くてよい形とされています。この遊びの名前も、その「石を抜く(取る)」ことから来ていると考えられます。
どちらも取れずに終わることはある?
あります。おたがいに守りを固めると、取れる石がなくなることがあります。そのときはパスをして、2人続けてパスすれば引き分け(3つ・5つのときは、取った数の多いほうの勝ち)です。引き分けにしたくないときは、設定のパスを「なし」にすると、最後まで打ち続けるので必ず決着がつきます。
2人で遊べる?途中でやめても大丈夫?
はい。相手を「となりの人」にすると、1台の画面で交代しながら対局できます。途中でやめても、同じ端末・同じブラウザなら「続きから」で再開できます。待ったやヒントも使えます。
ポン抜きの由来
相手の石を先に取ったら勝ちという遊び方は、囲碁の入門として日本のプロ棋士が広めたものとされ、いまでは日本だけでなく、海外の囲碁教室でも「キャプチャー碁(Capture Go)」などの名前で使われています。日本棋院も、九路盤で先に決めた数の石を取ったら勝ちという、コンピュータと対戦するソフトを公開しています。囲碁のルールのうち「取る」ことだけを先に覚えられるので、小さな子どもから大人まで、すぐに対局を楽しめるのが特徴です。ポン抜きで石の生き死にの感覚をつかんでから、ふつうの囲碁に進む人も多くいます。