ネファタフル(タフル)の遊び方
ネファタフル(Hnefatafl)は、ヴァイキングの時代の北ヨーロッパで遊ばれていた盤ゲームです。「ヴァイキングのチェス」と呼ばれることもあります。片方は盤のまん中にいる「王」とその「守り手」、もう片方は盤のふちから攻めてくる「攻め手」。攻め手の数は守り手のおよそ2倍です。守り手は王を盤のふち(ルールによっては角)まで逃がせば勝ち、攻め手は王を捕まえれば勝ち。数も目的もちがう2つの軍で戦う「非対称」の遊びで、同じ仲間の遊びをまとめて「タフル」と呼びます。
盤と最初の並べ方

このゲームの標準は、9×9のマスの盤で遊ぶ「タブルット」です。王を盤のまん中のマス(王座)に置き、守り手8つを王の上下左右に2つずつ、十字の形に並べます。攻め手16は、4つの辺のまん中に3つずつと、その1つ内側に1つずつ並べます。先に動かすのは攻め手です。
駒は縦か横にまっすぐ、何マスでも

自分の番には、駒を1つ選んで、縦か横にまっすぐ、空いているマスをいくつでも進めます。斜めには動けず、ほかの駒を跳びこすこともできません。王も、攻め手も守り手も、動き方は同じです。
まん中の王座には、王しか止まれません。王が王座を出たあとは、空いた王座をほかの駒が通りぬけることはできます(止まることはできません)。王はあとで王座に戻ってもかまいません。
2つではさむと取れる

駒を動かして、敵の駒を自分の駒2つで縦か横にはさむと、はさんだ駒を取って盤から取り除けます。斜めにはさんでも取れません。1回の手で、上下左右の何方向かを同時にはさんで、2つ以上取ることもあります。
取れるのは、はさむ側が「動いて」はさんだときだけです。自分から2つの敵の駒の間に入っても、取られることはありません。王も取りに加わることができ、守り手と王で攻め手をはさんでも取れます。
王座と角のマスも「敵」になる

王の出たあとの空いた王座は、どちらの駒にとっても「敵」の扱いです。王座のとなりにいる駒は、反対側から敵の駒が来るだけで取られてしまいます。王が王座にいるときは、王座は攻め手にだけ「敵」になります(王が取りに加わるため)。角に逃げるルール(コペンハーゲン・フェトラー)では、4つの角のマスも王しか入れず、だれにとっても「敵」になります。盤のふちそのものは「敵」になりません。
王を捕まえる(攻め手の勝ち)

標準のタブルットでは、王もほかの駒と同じに、攻め手2つではさめば捕まり、攻め手の勝ちです。ただし、王座の上にいる王は4方向すべてを、王座のとなりにいる王は王座の側を除く3方向を、攻め手で囲まないと捕まりません。11×11のコペンハーゲンとフェトラーでは、王はいつも4方向を囲まないと捕まらず、盤のふちにいる王は捕まりません。
攻め手は、王と残りの守り手を全部、ぐるりと輪のように囲んでも勝ちです(だれも盤のふちへ出られなくなるため)。
王が逃げる(守り手の勝ち)

王が盤のふちのマスに着いたら、王が逃げたことになり、守り手の勝ちです。11×11のコペンハーゲンとフェトラーでは、逃げ先は4つの角のマスだけになります。王から盤のふちまでまっすぐ空いた道ができたら、攻め手はすぐにふさがないと負けてしまいます。道が2本同時にできると、1手では1本しかふさげないので、ほとんど王の勝ちです。
そのほかの決まり
- 自分の番に動かせる駒が1つもなければ、その人の負けです。
- 同じ並び(駒の置き場所と手番が同じ)が3回目になると、タブルットは特定できた反復継続者の負け、特定できなければ引き分けです。コペンハーゲンは王の側の負け、フェトラーは引き分けです。2回目になると画面で知らせます。判定範囲は下の補足に記載しています。
- 攻め手と守り手あわせて300手たっても決着がつかないときは、引き分けにしています。
ルールの違い(タブルット・コペンハーゲン・フェトラー)
ヴァイキングの時代のネファタフルの本当のルールは、書き残されていません。いま遊ばれているルールは、北欧のラップランドで18世紀に書き留められた「タブルット」を手がかりに、現代の人たちが組み立て直したものです。このゲームでは、よく遊ばれている3つの形を選べます。「自分で決める」では、盤の大きさ・王の捕まえ方・逃げ先・盾の壁・エッジフォート・同じ並びのくり返しを1つずつ組み合わせられます。

| 決まり | タブルット(標準) | コペンハーゲン | フェトラー |
|---|---|---|---|
| 盤と駒 | 9×9・攻め手16・守り手8+王 | 11×11・攻め手24・守り手12+王 | |
| 王の逃げ先 | 盤のふちのどこでも | 4つの角のマス | |
| 王の捕まえ方 | 2つではさむ(王座とそのとなりでは囲む) | 4方向を囲む(王座のとなりは3方向+王座)。ふちでは捕まらない | |
| 盾の壁 | なし | あり | なし |
| エッジフォート | なし | あり | なし |
| 同じ並びの3回目 | 反復を続ける側の負け。特定できなければ引き分け | 王の側の負け | 引き分け |
盾の壁(シールドウォール)

コペンハーゲンのルールでは、盤のふちにそって2つ以上並んだ駒の列を、両はしからはさみ、列のどの駒のすぐ前(盤の内側)にも敵の駒がいれば、列をまとめて取れます。片方のはしは角のマスでもかまいません。列の中に王がいても、王は取られずに残ります。
エッジフォート
同じくコペンハーゲンでは、王が盤のふちにいて、まだ動けて、まわりを守り手の「くずせない囲い」で固めたら、守り手の勝ちになります。囲いの中に攻め手が入れず、壁の守り手が縦と横の両方ではさまれない形を保ちましょう。
勝つためのコツ
王の側のコツ1. 逃げ道を2本作る
逃げ道が2本あると、攻め手は1手でふさぎきれないことがあります。ただし、王を捕まえる手や、道を支える守り手を取る手には注意が必要です。王を動かして、盤のふちまでの道が同時に2本できる場所をさがしましょう。王の安全も確かめてから動かしましょう。
王の側のコツ2. 守り手で攻め手の列にすき間を作る
攻め手がふちにそって並ぶと、王の通り道がふさがれます。守り手で攻め手を取ったり、攻め手の動きをじゃましたりして、壁にすき間を作りましょう。
王の側のコツ3. 王をはさまれる形に置かない
タブルットでは、王も2つではさまれると捕まります。王のとなりに攻め手が来たら、反対側から来られないかを確かめましょう。印を出す設定なら、危ない王には赤い点線の輪が付きます。
攻め手のコツ1. 角と辺の近くを先にふさぐ
王が逃げる先の近く(タブルットならふちの列、11×11なら角のまわり)に攻め手を置いて、道を作らせないようにします。王を追いかけるより、逃げ先を先に固めるほうが確かです。
攻め手のコツ2. すき間のない輪を少しずつ狭める
攻め手は数が多いぶん、1つ1つは取られやすい駒です。2つ並べて組にすると はさまれにくくなります。輪を作ってから、少しずつ王を追いつめましょう。
攻め手のコツ3. 逃げ道の印を見落とさない
王から盤のふちまで道が開いたら、すぐにふさがないと負けです。印を出す設定なら、王の逃げ道は金色の点線で示されます。
よくある質問
ネファタフルとタフル、タブルットは何がちがうの?
「タフル」は、王と守り手が数の多い攻め手と戦う、北欧の盤ゲームの仲間をまとめた呼び名です。「ネファタフル」はヴァイキングの時代の呼び名で、11×11や13×13の盤で遊ばれていたと考えられています。「タブルット」は9×9の盤で遊ぶ、ラップランドに伝わった形です。
はじめてならどちらの側がいい?
王の側がおすすめです。王を逃がすという目的がわかりやすく、道を2本作るコツをつかむと勝てるようになります。攻め手は、逃げ道をふさぎながら囲む、少し先を読む力がいる側です。
王の側と攻め手、どちらが有利?
ルールによって変わります。王が4方向を囲まないと捕まらず、ふちのどこでも逃げられる昔の訳のルールでは、王の側がとても有利でした。そのため、逃げ先を角だけにする、王が取りに加わらないなどの工夫が加えられてきました。2人で遊ぶときは、1局ごとに側を交代するのがおすすめです。
CPUの強さはどれを選べばいい?
はじめてなら「やさしい」がおすすめです。攻め手のCPUは王の逃げ道をときどき見落とし、守り手のCPUは逃げられる道に気づかないことがあります。「ふつう」は逃げ道によく気づきますが、ときどき見落とします。「つよい」は数手先まで読んで、王の道をふさぎながら囲んできたり、2本の道を作ったりします。
待ったやヒント、続きからは使える?
はい。設定で「待った あり」にすると、「待った」ボタンで自分の手を取り消せます(CPUの手もいっしょに戻ります)。「ヒント」を押すと、先まで読んだらどの駒をどこへ動かすかを青い点線で教えてくれます。途中でページを閉じても、同じ端末・同じブラウザなら「続きから」で再開できます。音ははじめは出ない設定です。
ほかに似た遊びはある?
少ない駒と多い駒が戦う「狩りのゲーム」の仲間に、ヨーロッパのきつねとがちょうや、日本の十六むさしがあります。きつねとがちょうは、古い北欧のことばで「ハラタフル」と呼ばれ、名前にタフルが入っています。
タブルットでは、同じ盤面と手番の3回目で反復を続ける側が負けます。勝てる脅威を繰り返し作り、相手が毎回その脅威を消していることと、脅威を作る側に別の安全な手があることを確認できる場合に、その側を判定します。攻め手が反復を続ければ攻め手の負けです。どちらが続けているか不明、直近32手で一巡を確認できない、または以前の保存に履歴がない場合は引き分けです。次の1手で勝てる脅威以外の長期的な狙いは、この判定の対象外です。コペンハーゲンは3回目で守り手の負け、フェトラーは引き分けです。すべてのルールで、合計300手に達すると引き分けになります。
ネファタフルってどんな遊び?(歴史)
タフルの仲間は、ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・アイスランドなどの北欧から、イギリスやアイルランドまで、ヴァイキングの行った各地で遊ばれていたと考えられています。北欧の古い物語(サガ)にもたびたび登場し、王の駒は「フネヴィ(こぶし)」と呼ばれていたようです。ネファタフルという名前も「こぶしの盤」という意味だと言われています。サガの中には、ゲームにサイコロを使ったと読める文もあり、サイコロを使ったかどうかははっきりしていません。
遊びに使った盤や駒は、各地の遺跡から見つかっています。ノルウェーのゴクスタの船の墓からは木の盤が、スウェーデンのビルカからはガラスの駒が、アイルランドのバリンデリーからは、駒を差しこむ穴のある7×7の木の盤が見つかっています。2019年には、イギリスのリンディスファーン島で、王冠のような飾りの付いたガラスの駒が見つかり、この遊びの駒だったと考えられています。
やがて中世にチェスが広まると、タフルは遊ばれなくなり、ルールは忘れられていきました。ただ、北欧の北のラップランドでは、サーミの人たちが18世紀まで遊んでいました。1732年、スウェーデンの植物学者リンネが、ラップランドを旅したときの日記に、この遊びのルールと盤の絵を書き留めています。これが「タブルット」で、ルールがほぼわかっている唯一のタフルです。
リンネの日記はラテン語で書かれ、1811年に英語に訳されましたが、その訳には「王を捕まえるにはいつも4方向を囲む」などのまちがいがあったとされています。20世紀には、この訳をもとにネファタフルを組み立て直す試みが続き、王の側が勝ちすぎるのを直すために、逃げ先を角だけにするなどの工夫が加えられました。いま大会で遊ばれているフェトラー(2007年ごろ、スコットランドのシェトランド諸島のフェトラー島で決められたルール)やコペンハーゲン(2012年に決められたルール)は、その流れから生まれた現代のルールです。あとで日記を訳し直すと、タブルットでは王も2つではさめば捕まり、つり合いのよい遊びだったことがわかってきました。