ウルのゲームの遊び方
ウルのゲーム(ウル王朝のゲーム、英語では Royal Game of Ur)は、2人で遊ぶ競走の盤ゲームです。四面体のサイコロをふって、出た数だけ駒を進めます。自分の7個の駒を、相手より先に全部ゴール(盤の外)へ出したら勝ちです。運だけでなく、どの駒を動かすかを選ぶ考えどころがあるのが面白いところです。
盤の見方

盤は20マスで、左の大きな区画(4×3)と右の小さな区画(2×3)を、細い橋(2マス)でつないだ形です。自分の駒は、スタートから自分の段(手前の段)に入って左へ4マス進み、まん中の段を右の端まで進んだあと、自分の段に戻って2マス進み、盤の外のゴールへ出ます。全部で14マスの道です。
自分の段のマスは自分しか通らないので、そこにいる駒は取られません。まん中の段の8マスは相手と同じ道を通るので、取り合いになります。
サイコロの読み方

サイコロは三角すいの形(四面体)で、4つの角のうち2つに印が付いています。4個まとめてふり、印が上を向いた数を数えるので、出る数は0〜4です。いちばん出やすいのは2(16回に6回)で、1と3が16回に4回ずつ、0と4は16回に1回ずつしか出ません。0が出たら、その番は動けずに相手の番になります。
駒を入れて進める

出た数だけ、盤の上の駒を1つ進めるか、スタートから新しい駒を1つ入れます。どれを動かすかは自由です。1つのマスには駒が1個しか置けないので、自分の駒がいるマスには止まれません。動かせる駒があるときは、不利になっても必ずどれかを動かします。動かせる駒が1つもないときだけ、その番はパスになります。
相手の駒を取る

取られた駒は、また最初から進み直しです。取れる場面でも、取らずにほかの駒を動かしてかまいません。ゴールの近くまで進んだ駒ほど、取られたときの痛手が大きくなります。
ロゼット(花のマス)

盤には8枚の花びらの模様のマス(ロゼット)が5つあります。ロゼットに止まったら、続けてもう一度サイコロをふれます。まん中の段のロゼット(左から4番目)は、相手と取り合う道の上にありながら取られないマスです。ここに駒を置いておくと、自分の駒は安全で、相手はそのマスに止まれません。
ゴールはちょうどの目で

最後のマス(自分の段の右から2番目のロゼット)からは1、その1つ手前からは2がちょうどの数です。多すぎても少なすぎても、その駒はゴールに出られません。7個全部をゴールに出した人の勝ちです。
先手の決め方
2人ともサイコロをふって、大きい数を出した人が先手です。同じ数ならふり直します。先手の人は、あらためてサイコロをふって始めます。このゲームでは「サイコロで決める」のほか、先手を自分で選ぶこともできます。
ルールの違い(標準・マスターズ・ブリッツ)
ウルのゲームのルールは、昔の記録から研究者がまとめたものなので、考え方によっていくつかの形があります。ここでは、よく遊ばれている3つから選べます。「自分で決める」で1つずつ変えることもできます。

| ルール | 標準(フィンケル) | マスターズ | ブリッツ |
|---|---|---|---|
| 駒の数 | 7個 | 7個 | 5個 |
| サイコロ | 4個(0〜4) | 3個(0のときは4) | 4個(0〜4) |
| 道の長さ | 14マス | 16マス | 16マス |
| ロゼットにいる駒 | まん中のロゼットでは取られない | 取られる | 取られる |
| もう一度ふれる | ロゼット | ロゼット | ロゼット・取ったとき |
「標準」は、大英博物館のアーヴィング・フィンケルさんがまとめた遊び方で、今いちばん広く遊ばれています。「マスターズ」は、昔の遊びの研究家ジェームズ・マスターズさんの考えた形で、道が長く、安全なマスがほとんどないので取り合いが激しくなります。「ブリッツ」は、ウルのゲームの対戦サイト RoyalUr.net が作った短めの遊び方で、古代のルールではありません。
勝つためのコツ
1. まん中のロゼットを押さえる
標準のルールでは、まん中のロゼットにいる駒は取られず、相手はそこに止まれません。ここに1つ駒を置いておくと、相手の進み方をじゃまでき、自分はもう一度ふれる機会も得られます。急いで動かさず、長く置いておくのが定番の作戦です。
2. 相手の駒の1〜4マス先に止まらない
まん中の段では、相手の駒の1〜4マス先は取られるおそれがあります。特に2マス先はいちばん危ない場所です(相手が2を出す確率は16回に6回)。このゲームの「取られそうな駒に印を出す」をオンにすると、危ないマスがわかります。
3. 取れるときは、進んだ駒を取る
ゴールの近くまで進んだ相手の駒を取ると、相手は大きく遅れます。取ったあとに自分の駒が危ないマスに残らないかも、あわせて考えましょう。
4. ロゼットでもう一度をねらう
ロゼットに止まれる目が出たら、たいていは止まるのが得です。もう一度ふれるので、実質2回分進めます。自分の段の最初のロゼット(入口から4マス目)は、新しい駒を入れるときにもねらえます。
5. 自分の段で待つ駒を作っておく
自分の段の最初の4マスにいる駒は取られません。ここに駒を置いておくと、まん中の段に安全な隙間ができたときに飛び込めます。動かせる駒が多いほど、出た数に合わせて選べます。
6. 終盤は、ちょうどの目を残す
ゴールに出るには、ちょうどの数が必要です。最後のマスに駒が並ぶと、1が出るまで待つことになります。残りの数がばらばらになるように進めると、むだな番が減ります。
よくある質問
本当に世界でいちばん古いゲームなの?
ウルのゲームは「世界でもっとも古い盤ゲームのひとつ」と言われています。ただし、エジプトのセネトなど、もっと古いと考えられる盤ゲームもあり、「いちばん古い」とは言い切れません。遊び方を書いた記録が見つかっている盤ゲームとしては、とても古いものです。
0が出たらどうなるの?
その番は駒を動かせず、相手の番になります。4個のサイコロで0が出るのは16回に1回です。出た数で動かせる駒が1つもないときも、同じようにパスになります。
取られた駒はどうなるの?
スタートに戻り、また入口から入り直します。戻った駒は、次の番からすぐに入れることができます。
CPUの強さはどれを選べばいい?
はじめて遊ぶなら「やさしい」がおすすめです。取れる駒やロゼットをよく見落とします。ルールに慣れてきたら「ふつう」。取る・ロゼットに止まるはたいてい逃しませんが、危ないマスへうっかり進めることがあります。「つよい」は、まん中のロゼットを押さえ、取られにくい動かし方をしてくる手ごわい相手です(ときどき見落とします)。どの強さでも、サイコロの運で逆転が起こるのがこのゲームの面白さです。
途中でやめても、続きから遊べる?
はい。同じ端末・同じブラウザで開けば、「続きから」で再開できます。音ははじめは出ない設定で、ゲーム画面の「音:オフ」を押すと効果音が鳴ります。
ウルのゲームの歴史(授業で使うときに)
いつ・どこで見つかったの?
1922年から1934年にかけて、イギリスの考古学者レナード・ウーリーが、今のイラク南部にあった古代メソポタミアの都市ウルで、王の墓(王墓)を発掘しました。このとき見つかった5枚の盤から、「ウルの王家のゲーム(ウル王朝のゲーム)」と呼ばれるようになりました。大英博物館にある盤は、紀元前2600〜2400年ごろに作られたものとされています。木の箱の表面に、貝がら・赤い石灰岩・ラピスラズリ(青い石)をはめこんだ(象嵌した)美しい盤で、もとは中が空の箱になっていて、駒とサイコロをしまえたと博物館は説明しています。
同じ形の盤は、ウルのほかにもイラン・シリア・エジプト・レバノン・キプロス・クレタ島・スリランカなど広い地域で見つかっています。エジプトのツタンカーメンの墓からも、よく似た盤(裏がセネトの盤になっているもの)が見つかりました。身分を問わず、長い間たくさんの人に遊ばれていたと考えられています。
ルールはどうやってわかったの?
盤が見つかった当時は、遊び方はわかっていませんでした。手がかりになったのは、楔形文字で書かれた粘土板です。1980年代のはじめ、大英博物館のアーヴィング・フィンケルさんが、紀元前177年ごろにバビロンの書記(イッティ・マルドゥク・バラートゥ)が書いた粘土板に、このゲームの遊び方が書かれていることに気づきました。粘土板の裏には盤の図もあります。フィンケルさんは、写真だけが残る別の粘土板(第一次世界大戦で失われたもの)も使って解読しました。
ただし、この粘土板はウルの盤より2,000年以上もあとの時代のもので、賭けや占いも含む、もっと複雑な遊び方が書かれています。今広く遊ばれている「標準(フィンケル)」のルールは、フィンケルさんが粘土板と盤の形をもとに、今の人が遊べるようにまとめた形です。古代の人がまったく同じルールで遊んでいたかどうかは、わかっていません。道順やロゼットの意味には、マスターズさんのように別の考え方をする研究者もいます。
粘土板には、ゲームと占いの結びつきも書かれています。特定のマスに止まると「友だちができる」「ライオンのように強くなる」「おいしいビールが飲める」といった言葉があり、ゲームの結果を自分の将来に重ねて見ていたようです。
すごろく・バックギャモンとの関係
ウルのゲームは、サイコロをふって駒を進め、先にゴールを目指す「競走の盤ゲーム」です。この点で、日本のすごろくと同じ仲間の遊びといえます。また、「相手の駒に止まると振り出しに戻す」「駒を全部盤の外に出したら勝ち」という形は、今も世界中で遊ばれているバックギャモンによく似ています。そのため、ウルのゲームはバックギャモンの祖先のひとつではないかと考える研究者もいます。一方で、古い時代の終わりにウルのゲームが遊ばれなくなった理由ははっきりせず、「バックギャモンの仲間へ変わっていった」という説と「バックギャモンの仲間に人気をうばわれた」という説があります。
ウルのゲームは中東ではやがて忘れられましたが、インドのコーチ(コーチン)に住んでいたユダヤ人の人たちが、「アーシャ」と呼ぶ仲間の遊びを1950年代まで遊び続けていたことがわかっています。4,500年前の遊びが、形を変えながら長く受けつがれていたのです。
出典
- 大英博物館 収蔵品ページ「game-board」(museum number 120834): britishmuseum.org
- Wikipedia「ウル王朝のゲーム」「Royal Game of Ur」(英語版)
- RoyalUr.net「Rules of the Royal Game of Ur」(標準・マスターズ・ブリッツのルール): royalur.net
- James Masters「The Royal Game of Ur & The Game of 20 Squares」: tradgames.org.uk