きつねとがちょうの遊び方
きつねとがちょう(英語で Fox and Geese /フォックス・アンド・ギース)は、1匹の「きつね」と、13〜17羽の「がちょう」に分かれて遊ぶ、ヨーロッパに昔から伝わる盤上遊びです。きつねは、がちょうを跳びこして取ります。がちょうは数の力で、きつねをまわりから囲んで動けなくすれば勝ち。持つ駒の数も勝ち方もまったくちがう2つの役で戦う、「狩りのゲーム」と呼ばれる仲間の代表です。
盤と最初の並べ方

盤は、十字の形に33の点が並んだものです。ひとりで遊ぶ「ペグソリティア」と同じ形で、昔はその盤を使って遊ばれていました。点と点は線でつながっていて、駒はいつも点の上に置きます。
はじめに、きつねを盤のまん中の点に置きます。がちょうは下の腕の6つの点と、そのすぐ上の横1列(7つの点)に並べます。ここまでで13羽。15羽なら、その上の列の両はしに1羽ずつ、17羽ならさらにその上の両はしにも1羽ずつ足します。先に動かすのは、がちょうです。
駒は線にそって、となりの点へ1つ

自分の番には、駒を1つ選んで、線にそってとなりの空いている点へ1つ動かします。ほかの駒がいる点には入れません。がちょうの番には、たくさんいるがちょうのうちどれか1羽を動かします。
標準のルールでは、がちょうは前(上)と横にしか動けず、後ろ(下)へは下がれません。一度前に出たがちょうは戻れないので、どこへ進めるかをよく考えましょう。きつねは前後左右どこへでも動けます。
きつねは、がちょうを跳びこして取る

きつねのとなりにがちょうがいて、その線のすぐ向こうの点が空いているとき、きつねはがちょうを跳びこして向こうの点へ移れます。跳びこされたがちょうは取られて、盤から取り除かれます。チェッカー(西洋のゲーム)の取り方と同じです。
向こうの点にほかのがちょうがいるとき(2羽が線の上で並んでいるとき)は跳べません。がちょうは、きつねを跳びこすことも取ることもできません。
続けて跳べる(連続跳び)

跳んで着地した点から、さらに跳びこせるがちょうがいれば、同じ番のうちに続けて跳べます。向きを変えてもかまいません。続けるかどうかはきつねの自由で、途中でやめることもできます(このゲームでは「跳ぶのをやめる」ボタンか、きつねを押してやめます)。
がちょうの勝ち:きつねを囲んで動けなくする

がちょうは、きつねのまわりの点をふさいで、きつねが動ける所をなくしていきます。ただふさぐだけでは、すぐ向こうが空いているがちょうを跳ばれてしまいます。となりのがちょうの後ろにもう1羽をつけて、跳べないようにふさぐのがこつです。きつねの番に、きつねが動けず跳ぶこともできなければ、がちょうの勝ちです。
きつねの勝ち:がちょうを減らす
がちょうがたくさん取られると、きつねを囲むことができなくなります。そうなったら、きつねの勝ちです。何羽まで減ったらきつねの勝ちにするかは、本によってちがいます。このゲームの標準では「6羽以下できつねの勝ち」です。設定で4羽や「囲めなくなるまで(3羽以下)」にも変えられます。
がちょうの番に、動かせるがちょうが1羽もないときも、きつねの勝ちです。がちょうが後ろへ下がれないルールでは、前へ進みすぎると動ける所がなくなることがあります。そのほか、いつまでも決着がつかないときのために、このゲームでは次のときもきつねの勝ちにしています。
- 同じ並び(駒の置き場所と手番が同じ)が3回目になったとき。2回目になると画面で知らせます
- きつねとがちょうあわせて300手たっても決着がつかないとき
ルールの違い
きつねとがちょうはヨーロッパの国々で長く遊ばれてきたので、がちょうの数や動き方が本や地方によってちがいます。このゲームでは、よく見られる3つの形を選べます。「自分で決める」では、がちょうの数・斜めの線・がちょうが下がれるか・連続跳び・取るのが決まりか・きつねの勝ちになる数を、1つずつ組み合わせられます。

| 決まり | 17羽(標準) | 13羽・前後左右 | 15羽・斜めあり |
|---|---|---|---|
| がちょう | 17羽 | 13羽 | 15羽 |
| 線 | 縦と横 | 縦と横 | 縦と横と斜め |
| がちょうの動き | 前と横(下がれない) | 前後左右 | 前・横・斜め前 |
| きつねの勝ち | がちょうが6羽以下 | がちょうが3羽以下 | |
13羽で前後左右に動けるルールは、きつねのほうが勝ちやすいと言われています。がちょうを増やしたり、がちょうの動きを前と横だけにしたりする形は、勝ちやすさのつり合いを取るために生まれたと考えられています。斜めの線がある盤では、きつねが跳べる向きが増えるので、がちょうはすき間をふさぐのがむずかしくなります。
勝つためのコツ
がちょうのコツ1. 2列でかためて進む
がちょうが取られるのは、すぐ後ろの点が空いているときだけです。前の列のがちょうの後ろに、いつももう1羽がいるように、2列のかべのまま少しずつ前へ進めましょう。印を出す設定なら、動くと跳ばれてしまう行き先に×が付きます。
がちょうのコツ2. はしから寄せて、きつねを上の腕へ追いこむ
十字のはしの腕は、点が少なくふさぎやすい場所です。左右の腕からがちょうを中へ寄せて、きつねの広い場所を少しずつ減らし、最後は上の腕のはしに追いこみます。
がちょうのコツ3. あせって前に出すぎない
下がれないルールでは、前に出たがちょうは戻れません。1羽だけ先に飛び出すと、まわりにすき間ができて取られやすくなります。かべを崩さないように、横の動きで時間をかせぐのも大切です。
きつねのコツ1. まん中の広い所にいる
きつねが負けるのは、動ける所がなくなったときです。盤のまん中あたりは動ける向きが多く、囲まれにくい場所です。はしの腕の奥には、取れるがちょうがいるときだけ入りましょう。
きつねのコツ2. 2羽を同時にねらう
がちょうは1回に1羽しか動かせないので、跳べる所が2か所あると、両方は守れません。1つ動くと、次に跳べるがちょうが2羽できる……という場所をさがしましょう。
きつねのコツ3. 連続跳びの道すじを読む
1羽を取って着地した点から、もう1羽を跳べることがあります。がちょうのかべの後ろに空いた点が並んでいたら、続けて何羽も取れる大きなチャンスです。
よくある質問
きつねとがちょう、どちらが有利?
ルールによって変わります。13羽のルールはきつね、17羽のルールはがちょうが有利と言われていて、19世紀のイギリスの本にも「上手にやれば、がちょうが必ず勝つ」と書かれています。2人で遊ぶときは、1局ごとに役を交代し、勝った回数で比べるのがおすすめです。
きつねは必ずがちょうを取らないといけない?
標準のルールでは、取っても取らなくてもかまいません。北欧の古い形には「取れるときは必ず取る」という決まりがあり、設定の「跳べるときは必ず取る」で遊べます。このときは、続けて跳べる限り跳び続けます。
がちょうは何羽まで減ったら負け?
決まった数は本によってちがいます。このゲームの標準は「6羽以下」で、設定で4羽以下や「囲めなくなるまで(3羽以下)」にもできます。きつねを跳べないように囲むには、少なくとも4羽が要ります。
十六むさしとは何がちがうの?
日本の十六むさしも、1つの「親」を16の「子」が囲む、同じ狩りのゲームの仲間です。ちがうのは取り方で、十六むさしの親は子と子の間に割りこんで両どなりを取り、きつねはがちょうを跳びこして取ります。盤の形もちがいます。
CPUの強さはどれを選べばいい?
はじめてなら「やさしい」がおすすめです。がちょうのCPUはすき間をよく作り、きつねのCPUは取れるがちょうばかり見て、気づくと囲まれています。「ふつう」はすき間に気をつけてきますが、ときどき見落とします。「つよい」は数手先まで読んで、すき間のないかべで迫ってきたり、2羽を同時にねらったりします。
待ったやヒント、続きからは使える?
はい。設定で「待った あり」にすると、「待った」ボタンで自分の手を取り消せます(CPUの手もいっしょに戻ります)。「ヒント」を押すと、先まで読んだらどの駒をどこへ動かすかを青い点線で教えてくれます。途中でページを閉じても、同じ端末・同じブラウザなら「続きから」で再開できます。音ははじめは出ない設定です。
きつねとがちょうってどんな遊び?
きつねとがちょうのような、少ない「狩る側」と多い「狩られる側」が戦う遊びは、「狩りのゲーム」と呼ばれ、世界の各地にあります。きつねとがちょうは北ヨーロッパで生まれたと考えられていて、アイスランドの物語『グレティルのサガ』には「ハラタフル(しっぽの盤)」という名前で出てきます。「タフル」は、王と兵の数がちがう軍で戦う北欧の古い盤上遊び(タフル・ゲーム)と同じことばで、きつねとがちょうはその仲間から生まれたとも言われます。
イギリスでは15世紀の王エドワード4世が、きつね2つと猟犬26の駒のセットを買ったという記録があり、19世紀にはヴィクトリア女王も好んで遊んだと伝えられています。1801年にイギリスで出たジョゼフ・ストラットの本には、17羽のがちょうで遊ぶ形が紹介されています。
日本にも、1つの親を16の子で囲む十六むさしがあり、同じ狩りのゲームの仲間です。ネパールの「バグ・チャール(虎とやぎ)」のように、アジアにも似た遊びがたくさんあります。どれも、数は少ないけれど強い駒と、弱いけれど数の多い駒が戦うところがおもしろさです。