シャンチーの遊び方
シャンチー(象棋)は、中国で生まれた将棋のなかまのゲームです。中国やベトナムでは公園や街角で指している人をよく見かけるほど身近な遊びで、「中国将棋」ともよばれます。2人が赤と黒に分かれて16枚ずつの駒を持ち、交代で1手ずつ動かして、相手の「将(しょう)」を追いつめたら勝ちです。日本の将棋と似ているところも多いのですが、駒をマスの中ではなく線の交わる点に置くこと、取った駒は使えないこと、盤のまん中に「河(かわ)」があることなど、シャンチーならではの決まりがたくさんあります。このゲームでは、CPUと対戦するほか、1台の画面で2人が交代に指すこともできます。駒をえらぶと動ける点に青い点が出て、行けない点を押すと「馬の足がふさがっています」のように理由を教えてくれるので、ルールを覚えながら遊べます。
盤と駒の並べ方

盤は、横に10本・縦に9本の線でできています。駒はこの線が交わる点(90か所)に置きます。盤のまん中で縦の線が切れている所が「河(かわ)」で、「楚河 漢界」という字が書かれています。上下の中央にある、斜めの線が入った3×3の場所は「九宮(きゅうきゅう)」といい、王さまにあたる帥・将と、それを守る仕・士は、この中から出られません。
駒は1人16枚、7種類です。赤の駒は「帥・仕・相・俥(車)・傌(馬)・炮・兵」、黒の駒は「将・士・象・車・馬・砲・卒」と字が少し違いますが、同じ種類の駒は赤も黒も動き方は同じです。いちばん手前の線に、左から車・馬・相(象)・仕(士)・帥(将)・仕・相・馬・車。その2本前の線の左右に炮(砲)、河のすぐ手前の線に兵(卒)を1つおきに5つ並べます。相手は向こう側に同じ形で並べます。赤が先に指します。
駒の動かし方

自分の番には、駒を1つ動かします。パスはできません。行き先に相手の駒があれば、それを取ってその点に進めます。取った駒は盤から取りのぞき、日本の将棋のように使うことはできません。
| 駒(赤/黒) | 動ける所 |
|---|---|
| 帥(すい)/将(しょう) | 縦か横に1つずつ。九宮の外には出られない |
| 仕/士(し) | 斜めに1つずつ。九宮の外には出られない(動ける点は5つだけ) |
| 相/象(しょう・ぞう) | 斜めにちょうど2つ(「田」の字の対角)。河を渡れない。間の点に駒があると動けない(象の目) |
| 傌・馬(うま) | まっすぐ1つ進んでから、外へ斜めに1つ(「日」の字の対角)。最初の1つ目に駒があると、その向きへは動けない(馬の足) |
| 俥・車(しゃ) | 縦と横に、ほかの駒にぶつかるまで何点でも(将棋の飛車と同じ) |
| 炮/砲(ほう) | 動くときは車と同じ。取るときだけ、間にある駒をちょうど1つ飛び越えて、その先の相手の駒を取る |
| 兵/卒(へい・そつ) | 前に1つ。河を渡ったら横にも1つ動ける。後ろへは戻れない |
シャンチーには、日本の将棋の「成る」はありません。兵が河を渡ると横にも動けるようになるのが、ただ1つの変化です。いちばん奥まで進んだ兵は、横にだけ動けます。
はじめての人がつまずく3つの決まり
馬の足(馬はぴょんと跳べない)

馬はチェスのナイトや将棋の桂馬のように「日」の字の形に動きますが、駒を跳び越えることはできません。まずまっすぐ1つ進み、そこから斜めに1つ進む、と考えるとわかりやすく、最初の1つ目の点に駒(敵味方どちらでも)があると、その向きの2か所には行けません。これを「馬の足をふさぐ」といいます。相手の馬の足をふさいでおけば、その馬は自分の駒を取りに来られません。このゲームでは、ガイドをオンにすると、足をふさいでいる駒に印が出ます。
象の目(相・象は河を渡れない)

相(象)は斜めにちょうど2つ進む駒です。間の点に駒があると、その向きへは進めません(「象の目をふさぐ」)。また、相と象は河を渡れないので、自分の陣地の中の7か所しか動けない、守りの駒です。
炮の取り方(1つ飛び越えて取る)

炮(砲)は、動くときは車と同じように縦横どこまでも進めますが、取るときだけ動き方が変わります。取りたい相手の駒との間に、駒がちょうど1つ(敵味方どちらでも)あるとき、その駒を飛び越えて取ります。間の駒を「台(だい)」とよびます。間に駒がないとき、2つ以上あるときは取れません。また、取らないときに駒を飛び越えることはできません。最初の並びでは、炮が兵や馬を台にして、いきなり相手の駒をねらえるので、はじめの数手から気をつけましょう。
帥と将は向かい合えない(飛将)

帥と将が同じ縦の線にいて、その間に駒が1つもない形にしてはいけません。そうなる手(帥・将が相手の前に出る手や、間にいた自分の駒をどける手)は反則で、このゲームでは指せないようになっています。この決まりは「飛将(ひしょう)」や「王不見王」とよばれ、相手の将と向かい合っている帥は、まるで車のように相手の将をにらんでいると考えます。終盤では、帥を横に動かして相手の将の逃げ道をふさぐ、大事な攻め方になります。
勝ち負けの決め方(詰み・困斃)

相手の帥・将を次に取れる形にする手を「将(ジャン)」、日本でいう王手といいます。王手をかけられたら、帥・将を逃がす、王手をかけている駒を取る、間に駒を入れる(炮の王手なら台の駒をどけることもできます)のどれかで、必ず王手をはずします。どうやっても王手をはずせない形が「詰み(将死)」で、詰ませた人の勝ちです。
チェスとちがって、王手がかかっていなくても、自分の番に動かせる駒が1つもない(どの手を指しても帥・将が取られてしまう)ときは「困斃(こんぺい)」といって、その人の負けになります。
千日手・長将・長捉と引き分け

同じ形(盤の駒と手番)が3回くり返されたら、そのくり返しの中身で決着をつけます。片方がずっと王手をかけ続けていたら「長将(ちょうしょう)」で、王手をかけていた側の負けです。片方がずっと相手の同じ駒を取るぞと追いかけ続けていたら「長捉(ちょうそく)」で、追いかけていた側の負けです。どちらでもない(おたがいに行ったり来たりしているだけ、など)ときや、両方が王手をかけ合っているときは引き分けです。このゲームでは、2回目に同じ形になったとき「長将に注意」と知らせるので、手を変えれば負けにはなりません。
ほかに、60回合(赤と黒が60手ずつ、合わせて120手)のあいだ、どちらも駒を取らなかったとき、どちらにも攻める駒(車・馬・炮・兵)がなくなったときも引き分けです。
棋譜の読み方
盤の下の「棋譜」には、指した手が「炮二平五」のように並びます。中国式の棋譜は4文字で、1文字目が駒、2文字目がいまいる縦の線(路)、3文字目が向き(前へ=進、後ろへ=退、横へ=平)、4文字目が行き先です。路は自分から見て右から数え、赤は漢数字(一〜九)、黒は算用数字(1〜9)で書きます。縦にまっすぐ動いたときは4文字目が進んだ数、横や斜めに動いたときは行き先の路の数字になります。たとえば「炮二平五」は、赤が右から2本目の路の炮を、横に5本目の路(まん中)へ動かした、という意味で、シャンチーでいちばんよく指される最初の一手です。同じ路に同じ駒が2つあるときは「前車進二」のように前・後で区別します。設定で「座標式」にすると、「炮 h3→e3」のように盤の位置(左から a〜i、赤の手前から 1〜10)で書けます。
動きガイド・ヒント・待った

「動きガイド」をオンにすると、駒をえらんだときに動ける向きを矢印で出し、馬の足や象の目がふさがれている向きには×と印を出します。相手に取られそうな自分の駒には赤い点線の輪がつきます。「ヒント」を押すと、よさそうな手を緑の矢印で教えてくれます。「待った」で、自分が指す前の形まで戻せます。英字の駒にすると、駒に動ける向きの印がつくので、漢字が読めない人とも一緒に遊べます。
勝つためのコツ
1. 車は早く外へ出す
車はシャンチーでいちばん強い駒です。最初は盤の角にいて動けないので、横の兵を進めたり、馬を出したりして、早めに通り道を作りましょう。「車1つは馬や炮2つ分」といわれるほどなので、車を取られないように気をつけます。
2. 炮の「台」に気をつける
炮は間に駒が1つあれば遠くの駒を取れます。自分の駒の後ろに大事な駒を並べると、前の駒が台になって炮に取られることがあります。相手の炮と同じ線に駒を2つ以上並べるか、間の駒をなくすと安全です。
3. 馬は足をふさがれないように
馬は、すぐ隣に駒があると動けなくなります。自分の駒で自分の馬の足をふさがないように、まわりを空けておきましょう。反対に、相手の馬の足に駒を置けば、その馬の動きを止められます。
4. 兵は河を渡ってから強くなる
兵は河を渡ると横にも動けるので、相手の九宮のそばまで進んだ兵は、帥・将を追いつめる力になります。ただし後ろへは戻れないので、奥まで行きすぎると働きがなくなります。九宮のすぐ手前あたりで止めておくのが効果的です。
5. 仕と相で帥を守る
仕と相は九宮・自陣から出られない守りの駒ですが、王手をかけてくる車や馬の通り道をふさぐ大事な役目があります。うっかり取られて減ると、終盤で急に詰まされやすくなります。
6. 終盤は帥(将)も攻めに使う
飛将の決まりがあるので、帥が相手の将と同じ縦の線にいるだけで、将はその線に出られません。終盤は帥を横に寄せて相手の将の逃げ道を減らすと、少ない駒でも詰ませやすくなります。
よくある質問
シャンチーと日本の将棋はどこが違う?
いちばん大きな違いは、取った駒を使えないこと、駒が線の交点に置かれること、「成る」がないことです。そのほか、河や九宮があること、炮という飛び越えて取る駒があること、帥と将が向かい合えないこと、指せる手がなくなっても負けになることなどが違います。将棋を知っている人は、車=飛車、馬=桂馬に近い、と考えると覚えやすいでしょう。
CPUの強さはどう違う?
「やさしい」は、取れる駒を見落としたり、ねらわれている駒をそのままにしたりします。はじめての人でも勝ちやすい相手です。「ふつう」は、ときどき先を読んで駒の取り合いで得をしようとします。駒の動きを覚えたら勝ち越せる相手です。「つよい」は、読む回数が増えて、すきを見せると車や馬をねらってきます。何局か指して慣れた人向けです。
黒(後手)でも遊べる?
はい。設定の「あなたの色」で黒を選ぶと、盤を回して黒が手前になり、CPUの赤が先に指します。ランダムを選ぶと、どちらになるかを毎回決めます。
行けない点を押すと出てくる説明は何?
駒をえらんだあと、動けない点を押すと、その理由を盤の上の文で教えます。「馬の足がふさがっています」「象の目がふさがっています」「炮で取るには、間にちょうど1つ駒をはさみます」「帥と将が向かい合う形になります」などです。はじめのうちは、わざと押してみると決まりが覚えやすくなります。
途中でやめても続きから遊べる?
はい。同じ端末・同じブラウザで開けば「続きから」で再開できます。棋譜もそのまま残ります。音ははじめは出ない設定です。「音:オフ」を押すと鳴るようになります。
シャンチーの歴史
シャンチーは、古代インドの「チャトランガ」という盤上遊びが中国に伝わって生まれたという説が有力ですが、中国で独自に生まれたという説もあり、はっきりとはわかっていません。今の形に近いルールになったのは宋の時代(10〜13世紀ごろ)と考えられています。盤のまん中の「楚河 漢界」の字は、漢の劉邦と楚の項羽が天下を争った「楚漢戦争」にちなむといわれます。現在は中国・香港・台湾・ベトナムなどを中心に多くの人が楽しんでいて、世界選手権などの国際大会も開かれています。日本にもシャンチーの協会があり、大会が行われています。