ナポレオンの遊び方(トランプのルール)
ナポレオンは、5人で遊ぶトランプのゲームです。配られた札を見て「♥で13枚」のように宣言し、一番高い宣言をした人がナポレオンになります。ナポレオンは札を1枚決め、その札を持っている人がひそかに味方の副官になります。残りの3人は連合軍です。だれが副官なのかは、その札が出るまでナポレオン本人にもわかりません。ナポレオンと副官が宣言した枚数以上の絵札を取ればナポレオン軍の勝ち、止めれば連合軍の勝ちです。
日本で長く遊ばれてきたゲームで、学校や家族の集まりで覚えた人も多いでしょう。決まりはやや多いですが、一度流れをつかむと、だれが味方かを探りながら札を出す駆け引きが楽しくなります。このゲームでは、あなたとCPU(コンピューター)4人の5人で遊べます。
使う札と人数
ジョーカーを除く52枚を使い、1人に10枚ずつ配ります。残った2枚は伏せて真ん中に置きます(これを場札と呼びます)。絵札は各マークの A・K・Q・J・10 の5枚ずつ、合わせて20枚です。ふつうのトランプゲームでいう「絵札」と違い、A と 10 も絵札に入るのがナポレオンの特徴です。取り合うのはこの20枚で、ほかの札は何枚取っても数えません。

1. 競り(宣言)でナポレオンを決める

配り終わったら、親の左どなりから順に、「切り札にしたいマーク」と「ナポレオン軍で取る絵札の枚数」を宣言します。自信がなければパスします。前の人より高い宣言しかできず、このゲームの標準では13枚から宣言できます。枚数が同じなら、♠・♥・♦・♣ の順に強い宣言です。たとえば「♠で13枚」は「♥で13枚」より強く、「♣で14枚」はそのどちらよりも強くなります。
標準のルールでは、一度パスした人はその回の競りから降ります。最後に残った、一番高い宣言の人がナポレオンになり、宣言したマークが切り札になります。だれも宣言しなかったときは、同じ親がもう一度配り直します。
2. 副官を決めて、場札を取り替える

ナポレオンは、味方にしたい札を1枚決めて全員に知らせます。「♠Aの人」と決めたら、♠Aを持っている人が副官です。副官は名乗り出ないので、だれが副官かは、その札が場に出るまでわかりません。持っている本人だけが「自分が副官だ」と知っています。
そのあとナポレオンは、伏せてあった場札2枚を手札に加え、いらない札を2枚捨てます。捨てた札に絵札があれば表にして、連合軍の取り分になります。もし決めた札がナポレオンの手札や場札にあったときは、ナポレオンは副官なしの「ひとり」で戦い、ほかの4人が全員連合軍です。
3. 札の強さ(オールマイティ・正ジャック・裏ジャック)

ナポレオンでは、次の順に札が強くなります。
- オールマイティ(♠A)…どの札よりも強い、一番の札です。「マイティ」とも呼ばれます。
- 正ジャック…切り札のJ。切り札が♥なら♥Jです。
- 裏ジャック…切り札と同じ色のもう1枚のJ。切り札が♥なら♦J、♠なら♣Jです。
- 切り札…A・K・Q・10…2の順。切り札の2でも、ほかのマークの A に勝ちます。
- 台札のマーク…そのトリックで最初に出された札(台札)と同じマーク。A・K・Q・J・10…2の順です。
- ほかのマーク…どんなに大きくても勝てません。
この3枚(オールマイティ・正ジャック・裏ジャック)を役札と呼びます。役札は強さが特別なだけで、マークは元のままです。♠Aはスペード、裏ジャックの♦Jはダイヤの札として出します。
4. 台札のマークを出す(トリックの進め方)

最初のトリックはナポレオンが好きな札を1枚出して始め、時計回りに1枚ずつ出します。最初に出された札(台札)と同じマークを持っていれば、必ずそのマークを出します。持っていないときだけ、切り札でもほかのマークでも自由に出せます。5人が出したら、一番強い札を出した人が5枚を取り、その中の絵札がその人のものになります。取った人が次の台札を出し、これを10回くり返します。
このゲームでは、出せる札だけが明るく表示され、場の下に「強い順」が出ます。今一番強い札には「いま一番」の印が付くので、勝てるかどうかが一目でわかります。
5. 勝ち負けと点数

10回のトリックが終わったら、ナポレオンと副官が取った絵札を合わせて数えます。宣言した枚数以上ならナポレオン軍の勝ち、1枚でも足りなければ連合軍の勝ちです。点は、ナポレオン軍が勝てばナポレオン+2点・副官+1点・連合軍は1人−1点、負ければその反対です。ナポレオンが「ひとり」のときは、ナポレオンの点が±4点になります。連合軍が絵札を20枚すべて取ったときは、点が2倍です。これを決めた回数(標準は5回)くり返し、合計の点が一番多い人が勝ちです。
セイムツー・よろめき・ジョーカー

セイムツーは、5人の出した札がすべて同じマークで、その中に2があれば、一番弱いはずの2が勝つ決まりです。ただし役札が出ていれば役札が勝ちます。よろめきは、オールマイティ(♠A)と♥Qが同じトリックに出たら、♥Qが勝つという決まりです。最強の札にも弱点がある、というおもしろさがあります。
ジョーカーを入れて53枚で遊ぶ地域もあります。このゲームの「ジョーカー入り」では、場札が3枚になり、ナポレオンは3枚を取り替えます。ジョーカーはいつでも出せますが、ふつうは一番弱い札です。台札として出したときだけ、ほかの人は切り札を出さなければならず(切り札の請求)、役札の次に強い札になります。1回目のトリックの台札には出せません。
ルールの選び方
| ルール | 標準 | 選べるもの |
|---|---|---|
| ジョーカー | なし(52枚・場札2枚) | あり(53枚・場札3枚) |
| 宣言の最低枚数 | 13枚 | 12枚/11枚 |
| パスした人 | 競りから降りる | 次の番でまた宣言できる |
| セイムツー | あり | なし |
| よろめき | なし | あり |
| 1回目のトリック | いつもと同じ | セイムツーなし/役札・切り札なし |
| 20枚全部取ったとき | ナポレオン軍の勝ち | 負け(20枚と宣言したときは勝ち) |
ナポレオンは、トランプの中でも特に家庭や地域ごとの決まり(ローカルルール)が多いゲームです。「かんたん」はセイムツーを外した形、「ジョーカー入り」はジョーカーとよろめきを入れた形です。いつもの遊び方に合わせて切り替えてみてください。
宣言の考え方(何枚と言えばいい?)
宣言で一番大事なのは、「自分の手札で、ナポレオン軍が何枚くらい取れそうか」を見積もることです。目安になるのは次の札です。
- 役札:♠A・正ジャック・裏ジャックは、ほぼ確実に1回勝てる札です。どれかを持っていれば大きな強みになります。切り札を決める前に、どのマークにすれば正ジャック・裏ジャックがそろうかを考えましょう。
- 切り札の枚数:切り札が5枚以上あると、相手が台札のマークを切らしたあとでも勝ちやすくなります。10枚のうち切り札が3枚以下なら、そのマークでの宣言は控えめに。
- 切り札の A・K:役札が出たあとは、切り札の A・K が一番強い札になります。
- ほかのマークの A:序盤なら台札として出して勝てることが多い札です。
このほかに、副官の力と場札2枚がナポレオン軍に加わります。副官には自分が持っていない一番強い札(たいていは♠A や正ジャック)を指定するので、副官の手札にも強い札が1枚は入っています。おおまかには「切り札5枚と役札1枚」で13枚前後、「切り札6枚と役札2枚」で15枚前後をねらえる、と考えると始めやすいでしょう。このゲームの競りでは、選んだマークを切り札にしたときの目安の枚数を表示するので、慣れるまでは参考にしてください。
宣言は、相手より高くするほどナポレオンになりやすくなりますが、そのぶん勝つのが難しくなります。点は宣言の枚数にかかわらず同じなので、無理に高く言うより、取れる見込みのある枚数で止めておくのが基本です。どのマークでも13枚に届きそうになければ、迷わずパスしましょう。連合軍の側で勝てば、点は入ります。
副官の推理のコツ
ナポレオンの一番の楽しさは、「だれが副官か」を探り合うところです。副官の札が出るまでは、次のような動きを手がかりにします。
- ナポレオンが勝っている場に絵札を出す人は、副官かもしれません。連合軍なら、ナポレオンにわざわざ絵札を渡すことは少ないからです。
- ナポレオンの札に勝って絵札を取っていく人は、連合軍の可能性が高いでしょう。
- 副官の札のマークを持っていないことがわかった人(台札にそのマークが出たのに別のマークを出した人)は、副官ではありません。候補が絞れていきます。
自分が副官になったときは、いきなり副官の札を出して正体を明かすより、ナポレオンが勝っている場に絵札をそっと渡したり、連合軍が取りそうな場を横から奪ったりするのが効果的です。正体を隠しているあいだは、連合軍もあなたに絵札を渡してしまうことがあります。反対に、自分が連合軍のときは、味方かどうかわからない人に絵札を渡すのは危険です。確かに連合軍だとわかる人が勝っている場や、自分で確実に取れる場に絵札を出しましょう。
ナポレオン自身も副官がだれかを知りません。副官の札を早めに引き出したいなら、そのマークの低い札を台札にするのも手です。副官が出てくれば、そこからは安心して絵札を渡せます。
勝つためのコツ
1. ナポレオンは役札で場を取って、流れをつかむ
ナポレオンになったら、確実に勝てる役札や大きな切り札で場を取り、台札を出す権利を握りましょう。相手の切り札が減ってくると、ほかのマークの A も勝ちやすくなります。
2. 捨てる札でマークを空にする
場札を取り替えるときは、絵札でない弱い札を捨てるのが基本です。1〜2枚しかないマークを捨てて空にしておくと、そのマークが台札に出たときに切り札で勝てます。絵札を捨てると連合軍の分になるので注意しましょう。
3. 連合軍は序盤に A を出す
連合軍は、ナポレオンがまだそのマークを持っているうちに、ほかのマークの A を台札に出して絵札を集めましょう。後半になると、ナポレオンがそのマークを切らして切り札で取られやすくなります。
4. 勝てないときは絵札を出さない
相手が勝ちそうな場には、絵札でない小さい札を出します。絵札しかないときは、安い切り札で勝ちにいくのも手です。
5. 最後に出す人は得をしやすい
5人目に出す番では、ほかの4人の札が見えているので、勝てるかどうかが確実にわかります。絵札がたくさん出ている場なら、一番安い勝てる札で取りましょう。
6. 出た札を覚える
役札と切り札の A・K がもう出たかどうかを覚えておくと、自分の札が勝てるかどうかの判断が正確になります。まずは役札の3枚だけ覚えるところから始めてみてください。
よくある質問
4人や6人でも遊べる?
遊べますが、このゲームは一番よく遊ばれている5人の形です。4人のときは1人12枚・場札4枚、6人のときは1人8枚・場札4枚にするのが一般的で、余る札を減らすために3などの弱い札を抜く遊び方もあります。
副官の札を自分で持っていたらどうなる?
ナポレオンが自分の持っている札を指定したり、指定した札が場札に入っていたりしたときは、ナポレオンは副官なしの「ひとり」で戦います。勝てば点が2倍(+4点)なので、手札がとても強いときに、あえて自分の札を指定する作戦もあります。
副官は名乗り出なくていいの?
名乗り出ません。副官の札を出した時点で、まわりにわかります。このゲームでも、副官の札が出るまでは、だれが副官かは表示しません(あなたが副官のときだけ、あなたの席に「副官(内緒)」と出ます)。
オールマイティでも負けることはある?
標準のルールでは負けません。「よろめき」をありにすると、♥Qと同じトリックに出たときだけ♥Qに負けます。
CPUの強さはどれを選べばいい?
はじめてなら「やさしい」がおすすめです。CPUは宣言が強気で、ナポレオンになっても負けることが多く、札の出し方も素直なので、ルールを覚えながら遊べます。「ふつう」は手札に合った宣言をし、出た役札も覚えている相手です。「つよい」は出た札をすべて覚え、だれが副官かを読みながら、あなたが困る札をしっかり選んできます。
途中でやめても続きから遊べる?
はい。途中で画面を閉じても、次に開いたときに「続きから」で再開できます。記録はこの端末のブラウザの中だけに保存されます。
ナポレオンってどんな遊び?
名前の元になったのはイギリスの「ナポレオン(ナップ)」という遊びで、明治時代に日本へ伝わったとされています。ただし、いま日本で「ナポレオン」と呼ばれている遊びは、イギリスのナップとはかなり違うもので、日本の中で決まりが加わりながら独自に育ってきたと考えられています。正ジャック・裏ジャックはアメリカのユーカーやファイブハンドレッドのような遊びに、オールマイティはスペインのオンブルのような遊びに似た決まりがあり、さまざまな遊びの考え方が混ざってできたようです。地域や仲間ごとに決まりが違うのも、こうして長く遊びつがれてきたゲームならではです。