軍人将棋の遊び方
軍人将棋(ぐんじんしょうぎ)は、相手に駒の種類を見せないまま動かし合う、日本で古くから遊ばれてきた対戦ゲームです。駒には大将・中将から少尉までの階級や、飛行機・タンク・工兵・スパイ・地雷・軍旗といった種類があり、ぶつかったときにどちらが勝つかが決まっています。ただし、ぶつかった駒の種類を見るのは審判だけ。遊ぶ2人は「勝った」「負けた」「相打ち」という結果から、相手の駒が何なのかを推理していきます。本物の盤では3人目の人が審判をしますが、このゲームでは画面の中の審判が判定するので、1人でCPUと遊べます。
盤と、最初の並べ方

盤は上下2つの陣地に分かれていて、あいだに通れない帯があります。帯を渡れるのは、橋のような「突入口」がある2つの列だけです。それぞれの陣地のいちばん奥のまん中2マスは「総司令部」で、2マス分の広さですが駒は1つしか置けません。
最初の並べ方は自由です。自分の陣地のどこに何を置いてもかまいません。ただし、動けない地雷と軍旗は、突入口のすぐ前のマス(うすく色がついたマス)には置けません。「おまかせ」を選ぶと、よく使われる考え方(総司令部に大将か地雷を置く、突入口の前に強い駒を置く、など)で並べてくれます。「自分で並べる」を選んだときは、おまかせの並びから始めて、2つの駒を続けて押すと入れかえられます。
駒の動かし方

| 駒 | 動き |
|---|---|
| 大将〜少尉・スパイ | 前後左右に1マス |
| タンク・騎兵 | 前後左右に1マス。前へ2マスも進める(1マス目が空いているとき) |
| 工兵 | 前後左右に何マスでも(ほかの駒は飛びこえられない) |
| 飛行機 | たてに何マスでも。ほかの駒も、通れない帯も飛びこえられる。よこは1マス |
| 地雷・軍旗 | 動けない |
自分の番には、駒を1つ動かします。行きたいマスに相手の駒がいれば、そこへぶつかっていきます。帯を越えて相手の陣地に入れるのは、突入口のある列だけです(飛行機だけは、どの列からでも飛んで入れます)。
ぶつかったら審判が判定する

駒がぶつかると、画面の中央に「審判の判定」が出て、どちらが勝ったかを教えてくれます。攻めた駒が勝てばそのマスへ進み、負ければ攻めた駒が盤から下がります。同じ種類の駒どうしは「相打ち」で、両方とも下がります。盤から下がった駒は、もう使えません。本将棋のように取った駒を自分の駒にすることもありません。
「判定のあと見せる駒」の設定で、ぶつかったあとに相手の駒を見せるかどうかを選べます。「見せない」が本来の遊び方で、勝ち負けだけを手がかりに推理します。「勝った駒を見せる」は、勝ったほうの駒だけを表にします。慣れないうちは、こちらのほうが相手の強い駒の場所が分かりやすくなります。
駒の強さ

基本は、大将>中将>少将>大佐>中佐>少佐>大尉>中尉>少尉の順に強く、上の階級が勝ちます。そのうえで、次の決まりがあります。
- スパイはいちばん弱い駒ですが、大将にだけは勝ちます。
- 飛行機は将官(大将・中将・少将)にだけ負け、ほかの駒と地雷には勝ちます。
- タンクは将官・飛行機・工兵に負け、佐官・尉官・騎兵・スパイには勝ちます。
- 工兵は地雷・タンク・スパイに勝ち、ほかには負けます。騎兵は工兵とスパイにだけ勝ちます。
- 地雷は動けません。飛行機と工兵には負けますが、それ以外の駒がぶつかると相打ちになり、両方下がります。
全部の組み合わせは、ゲームの「強さの表」ボタンでいつでも見られます。
軍旗は「すぐ後ろの駒」と同じ強さ

軍旗は動けない駒で、強さは「すぐ後ろ(自分の陣地の奥の側)にある味方の駒」と同じになります。後ろが大将なら大将と同じ強さ、後ろが地雷なら、ぶつかった駒と軍旗が相打ちになります(地雷は残ります)。後ろが空きや相手の駒のとき、また軍旗がいちばん奥の段にあるときは、どの駒にも負けてしまいます。
勝ち負けの決め方

相手の総司令部に、大将・中将・少将・大佐・中佐・少佐のどれかが入ったら勝ちです。総司令部に相手の駒がいるときは、ぶつかって勝てばそのまま占領になります。大尉より下の駒や、飛行機・タンク・工兵などが入っても占領にはなりません。また、相手の動かせる駒(地雷と軍旗以外)を全部なくしても勝ちです。両方の動かせる駒が同時になくなったときや、決まった手数(23枚で320手)を過ぎたときは引き分けです。
相手の駒を推理して、メモを付ける

相手の伏せた駒を押すと、「大将」「地雷」「強い」「弱い」などのメモを付けられます。一度でも動いた駒には小さな点がつくので、その駒は地雷でも軍旗でもないと分かります。前へ2マス進んだ駒はタンク・騎兵・工兵・飛行機のどれか、帯を飛びこえた駒は飛行機です。自分の大佐を倒した駒は、将官か飛行機かタンク、というように、勝ち負けからも手がかりが集まります。
ルールの違い(かんたん・標準・大きい盤・自分で決める)
軍人将棋は、作られた時代や地域によって駒の数や細かい決まりが少しずつ違います。このゲームでは、よく知られた形を3つ用意しました。
| ルール | 盤と駒 | 向いている人 |
|---|---|---|
| かんたん | 6×3の陣地に17枚。軍旗・騎兵・中佐・中尉・少尉がない | はじめての人。覚える駒が少なく、1局が短い |
| 標準 | 6×4の陣地に23枚(23枚の組) | ふつうの軍人将棋を遊びたい人 |
| 大きい盤 | 8×4の陣地に31枚(31枚の組) | じっくり遊びたい人 |
「ルールを細かく決める」では、地域によって違う決まりを選べます。タンクと工兵がぶつかったときは、古くからの勝ち負けの表では工兵の勝ちですが、テレビゲームなどで広まった「タンクの勝ち」も選べます。ほかに「地雷が勝ったとき地雷は盤に残る」「大将を倒されたら負け」という遊び方も選べます。
勝つためのコツ
1. 総司令部は強い駒か地雷で守る
総司令部が空いていたり、弱い駒しかいなかったりすると、少佐1枚で負けてしまいます。大将を置くか、地雷を置いてそのとなりに大将や中将を置くのが定番です。総司令部の駒は、むやみに動かさないようにしましょう。
2. 動いていない駒には、強い駒をぶつけない
一度も動いていない駒は、地雷かもしれません。大将や中将が地雷にぶつかると相打ちで失ってしまいます。動いていない駒を確かめるときは、弱い尉官や、地雷に勝てる工兵・飛行機を使いましょう。
3. 攻めには中将や少将を使う
大将はスパイにだけ負けるので、前に出すとスパイにねらわれます。大将は守りに残し、動いている相手の駒には中将・少将をぶつけるのが安全です。中将が負けたら、その相手は大将だと分かります。
4. 勝ち負けから相手の駒をしぼる
弱い駒で勝ったときほど、相手の駒の種類はしぼれます。たとえば騎兵が勝てば、相手は工兵かスパイです。分かったことはメモに残しておくと、あとで強い駒をぶつける相手を選べます。
5. 飛行機の動きは見られている
飛行機が帯や駒を飛びこえると、すぐに飛行機だと分かってしまいます。はじめは1マスずつ動かして、ほかの駒のふりをさせるのも作戦です。
6. スパイは大将の近くで待たせる
相手の大将と分かった駒には、スパイをぶつければ勝てます。ただしスパイはほかのどの駒にも負けるので、前に出しすぎないようにしましょう。
よくある質問
審判がいなくても遊べるの?
はい。このゲームでは画面の中の審判が勝ち負けを判定するので、1人でCPUと遊べます。ぶつかった駒の種類は、設定で選んだとおりにだけ見せます。
CPUはこちらの駒を見ていないの?
はい。CPUが使うのは、あなたと同じく、盤の上で見えていること(どの駒がどう動いたか、ぶつかってどちらが下がったか)と、見せてもらった駒だけです。伏せた駒の種類はのぞきません。
CPUの強さはどう違う?
「やさしい」は駒の並べ方が雑で、考えずに前へ出てきたり、総司令部の守りを忘れたりします。はじめての人でも勝ちやすい相手です。「ふつう」は動き方や勝ち負けから駒を推理しますが、ときどきうっかりします。「つよい」は地雷を警戒し、総司令部の守りも固い相手です。
1手もどす・一時停止はある?
あります。「1手もどす」を押すと、自分が動かす前の形に戻せます(CPUの手もいっしょに戻ります)。「一時停止」を押すと、CPUは考えるのを止めて待ちます。途中でページを閉じても、同じ端末なら「続きから」で再開できます。音は、はじめは出ない設定です。
市販の軍人将棋とルールが違う?
軍人将棋は製品や地域によって、駒の数・盤の形・細かい決まりが違います。このゲームは、昔から広く遊ばれてきた23枚・31枚の組と勝ち負けの表をもとにしています。突入口の数や総司令部の広さなどは、分かりやすいようにこのゲームで決めた形です。
軍人将棋ってどんな遊び?
軍人将棋がいつ、だれによって考えられたかは、はっきりとは分かっていません。明治の半ばにはすでに作られて売られていた記録があり、「行軍将棋(こうぐんしょうぎ)」「軍事将棋」などとも呼ばれてきました。明治の終わりの遊びの本では「いくさ将棋」として紹介され、全国に広まっていたことが書かれています。駒を伏せて置き、審判が勝ち負けを決めるという仕組みは、将棋やチェスのように全部が見えているゲームとはちがう、推理とかけひきの楽しさがあります。海外にも同じ仕組みの遊びがあり、ボードゲームの歴史の上でも興味深い遊びのひとつです。